遺言書を残された方に代わって、遺言書の内容を実現する人が、遺言執行者です。
遺言執行者は、次の2つの方法によって選任できます。
遺言書を作成しても、相続人全員で合意(遺産分割協議)をすれば、遺言書の内容を覆すことができます。
しかし、遺言執行者がいれば、相続人は、たとえ全員で合意(遺産分割協議)したとしても、遺言書の内容を覆すことができません。つまり、遺言書の内容に従わないといけません。
※遺言書に従わず、勝手に遺産の分配や処分をしてしまった場合は、妨害行為として遺言執行者から差し止めされます。
遺言執行者に就任した場合に、しなければならないことは次のとおりです(民法1011条、1014条)
上記1~4のほかに、遺言執行者には委任の規定が準用されていることから、相続人への報告義務もあります。
遺言執行者は、遺言書に記載されている財産について執行する権限があります。
したがって、遺言書に記載されていない財産については、何の権限もありません。
遺言執行者が選任されている場合は、遺産分割協議はできません。
ただし、遺言書に記載されていない相続財産については、遺産分割協議をすることができます。
~参考~
民法1013条(遺言の執行の妨害行為の禁止)
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることできない。
遺言書の有効か無効か、必ず確認すべきです。
家庭裁判所は、遺言書が有効だから遺言執行者を選任するわけではありません。
いざ、遺言執行者に選任されたけれども、遺言書が無効であれば、それまで行ったことは無権代理人の行為あるいは事務管理となります。その結果、余計なトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
断ることはできます。
その場合の相続手続きは、次のいずれかの方法によります。