平成29年度より、「法定相続情報証明制度(仮称)」が新設されるのはご存じでしょうか?
法務省が、相続登記を促進する目的で、平成29年5~6月にスタートさせるようです。
以下、パブリックコメントで公表された情報を元に記事を書きます(平成29年3月29日現在)。
法定相続情報証明制度(仮称)???
簡単に解説いたしますと、“相続手続に必要であった戸籍等の情報を法務局で整理して「証明書」として発行します”というものです。
運用が始まってみないと、何ともいえないところもございますが、パブリックコメントで公表された情報を元に考えると、法定相続情報証明(以下、「証明書」とします。)は、次の書類に置き換えることができます。
相続手続で必要な書類 | 法定相続情報証明制度で代替できる書類 |
A.故人の戸籍(出生から死亡まで) |
証明書で代替 |
B.故人の住民票除票または戸籍の除附票 |
証明書で代替 →不可(H29.6.9訂正) |
C.相続人全員の戸籍(現在戸籍) |
証明書で代替 |
D.相続関係説明図 |
△(おそらく証明書で代替可能) →証明書で代替(H29.6.9訂正)
|
E.遺産分割協議書 | 不可(これまで通り必要) |
F.相続人全員の印鑑証明書 | 不可(これまで通り必要) |
G.財産を受け取る方の住民票 |
△(微妙) →不可(H29.6.9訂正) |
※手続をする機関(法務局、税務署、銀行、証券会社等)によって、求められる書類が多少異なりますので、上記の表は相続登記の場合に限定しています。
※遺言書がなく、遺産分割協議をする場合を前提としております。
そして、証明書を、法務局に発行してもらうために、どのような書類が必要になるでしょうか?(新設:不動産登記規則第247条3項)
<必要書類>
1.法定相続情報一覧図
※相続人の住所を記載する場合は、相続人の住民票
2.被相続人(故人の)の出生時から死亡までの戸籍
3.被相続人(故人の)の住民票除票または戸籍の除附票
4.相続人の戸籍謄本または全部事項証明書等
5.申出人の住民票
法定相続情報証明制度(仮称)で何が変わる???
では、法定相続情報証明制度がスタートすると、どのように変わるでしょうか?
- 「さぁ!相続手続を始めよう!」という初動の段階では、必要書類に差はなく、いつ戸籍等を出すかだけの違いしかありません。
- 実務している側からすると、戸籍等の束が1通でもあれば、原本還付(※)して使い回して手続ができていたので、手続する側の負担が大きく軽減することはない。
- 制度がスタートしても、民間の金融機関等が証明書で手続をしてもらえるか分らない。
※原本還付・・・原本を提出して、手続を依頼した先で確認が終わったら、あとで原本を返してもらうこと。
しかし、結論から言うと、法定相続情報証明書は取得しておくべきです。
その理由は、次のような場合に役立つからです。
- 面倒な相続手続きを早く終わらせてしまいたい場合
- 相続手続が完了したと思っていたけど、後から遺産が出てきた場合
- 制度が浸透すると、民間の金融機関等でも証明書が使えるようになるかもしれない。
まとめ
- 法定相続情報証明制度は、平成29年5月ごろにスタートする。
- 制度がスタートしても、戸籍等は一度は全部集めないといけない。
- 相続が開始したら、取り敢えず証明書の申請をしておくべき。
※運用が開始されましたら、整理してまた記事にしたいと思います。
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